腕だけでなく体をひねれば疲れにくい」など本間さんのアドバイスを頼りに、波もなく穏やかな湖面をどんどん進む藤崎さん。初心者ながらたくみにパドルを操り「水が透き通っていてきれい」とはしゃぐ。杉本さんも「浮いている感じが楽しい」と続く。初夏の心地よい風を受け、両津の町並みや山々を望む絶景をしばし満喫した。
場所を移動し、ルアー釣りにチャレンジした2人。「海水と淡水が混じり、季節や時間帯によってスズキやクロダイ、マゴチ、ヒラメなどが釣れる」と聞き、目を輝かす。手前の藻を避けながらルアーをひたすら投げ続け、大物を狙った。
2人の願いが天に通じたのか、藤崎さんのさおに魚信が伝わり、10㌢ほどのムラソイが湖面から姿を現わす。負けじと杉本さんも20㌢を超すムラソイを釣り上げた。2人とも「ルアーを飛ばすのは難しいけれど、釣れると楽しいね」と満面の笑みを浮かべた。
黄金の島佐渡は、豊かな自然に恵まれた「花の島」でもある。東京23区のおよそ1.4倍という面積の約7割が森林で覆われ、四季折々、さまざまな植物が旅人を出迎え、心と体を癒やしてくれる。北緯38度線(寒暖両系の植物境界線)が島の中央を走り、南北両系の植物が入り交じる島の風景はまさに「日本の縮図」だ。一方で、山や海、湖といった起伏に富んだ地形を誇る佐渡は、キャンプやウオータースポーツなどアクティビティが幅広く楽しめる。さまざまな表情を見せる島の魅力に触れ、再びこの地を訪れるファンは多い。
新潟日報社が展開する「SADOプライド」プロジェクトの「NGT48推し旅」第2弾は両津編。佐渡観光応援公式サポーターを務めるNGT48のキャプテン、藤崎未夢さん(22)=新潟市出身=、初めて佐渡を訪れるメンバーの杉本萌さん(17)=長野県出身=が、アウトドアのお薦めスポットを紹介する。
【加茂湖】
県内最大の湖、加茂湖はカキの養殖で全国的に知られているが近年、ウオータースポーツを楽しむ絶好のスポットとなっている。カヤックに初めて挑戦した2人は、NPO法人「サードフィールドさど」のガイド、本間功太郎さん(23)の手ほどきを受け、早速、湖へとこきだした。
KAMOKO
【ドンデン高原】
山野草の宝庫であるドンデン高原を訪れた2人は、標高890㍍のドンデン高原ロッジを意気揚々と出発。一路、尻立山(標高940㍍)の頂上を目指した。
900㍍級の山々からなるドンデン高原は、冬季の季節風の影響で冷温帯となり、低地でも高山植物を見ることができる。先頃、「未来に残したい草原の里100選」にも選出、毎年、多くの人がトレッキングや登山に訪れる島内屈指の人気スポットだ。
DONDEN
KOGEN
山道をしばらく登ると眺望がいきなり開け、眼下に連なる山々の緑と抜けるような青空が目に飛び込む。2人から「すごーい絶景」との言葉が思わず漏れる。約20分の「登山」で頂上に到着、360度のパノラマを思う存分に楽しんだ。
頂上で休憩し、疲れを癒やした2人は帰路、山野草を観察しながら戻ることに。ガイド役となった佐渡アウトドアベースのスタッフ、猪股明美さん(45)が「レンゲツツジ はソバカス(斑点)があるものとないものがある」「クマやシカなどがいないので、植物が食い荒らされない」と解説すると、興味深そうに眺めていた。
「野生の花の力強さを感じた」と藤崎さん。杉本さんは「違うシーズンにもぜひ訪れてみたい」と再訪を誓った。
OONO
GAME
トビシマカンゾウは佐渡と山形県の一部に生息し、大野亀には約50万株、100万本が群生する。観光客に交じり遊歩道を散策し、花を眺める2人。NGTのファーストアルバムのジャケット撮影で大野亀を訪れたことのある藤崎さんは「撮影時は3月だったので花は咲いていなかった。同じ場所とは思えない」と感激した様子。杉本さんも「参加はしていないが、すぐにここで撮影したと分かった」と「聖地巡礼」気分を味わっていた。
FUTATSU
GAME
一方、環境省の「快水浴場百選」にも選ばれた二ツ亀。海水浴シーズンには、少し早いが、エメラルドグリーンの透き通った海を見下ろし、夏の訪れに期待を膨らませた。「ウラジオストク769㌔」の標識を見つけた2人。「ここからは見えないよね」と言いながらも、水平線に目をこらす。まだ見ぬ遠い異国の地に思いをはせた。
【大野亀・二ツ亀】
大佐渡北端の海に浮かぶ景勝地、大野亀と二ツ亀。海と奇岩が織りなす大野亀の見どころに例年5月下旬から6月上旬にかけ、トビシマカンゾウの花が加わる。一面、咲き誇る黄色の花、花、花…。圧巻の風景を前に、2人からは「とってもきれい!」と歓声が上がった。